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2023/01/10
お知らせ

GEAR5.0 農林水産領域分野:「海なし県」埼玉でウニ陸上養殖プロジェクトをスタート!

 本校は、埼玉県久喜市「天然温泉 森のせせらぎ なごみ(運営会社:(株)山竹(代表取締役:山中和子))」と連携し、温泉水を活用したウニ養殖の社会実装を進めています(海なし県&KOSEN発 水産養殖プロジェクト)。このプロジェクトは、国立高専機構の事業であるGEAR5.0農林水産領域分野における主要な取り組みと位置づけられています。
 2022年12月15日(木)埼玉県・久喜総合文化会館 小ホールにて、講演会と記者発表会の二部構成で本プロジェクトのキックオフ宣言をしました。

◆開催の趣旨
 世界と比べ日本の総漁獲量は、年々減少傾向にあり、内湾で行われる海面養殖も停滞しています。GEAR5.0農林水産領域分野では、海のない県や海から離れた地域でも水産養殖ができる閉鎖循環式陸上養殖(陸上の水槽内で、一定水温下で飼育水を浄化しながら繰り返し利用する養殖法)を推進することにより、日本の水産業を「陸」から活性化できると考え、同式陸上養殖の課題となっている“理想的な浄化技術がない!”と“コストが高い!”を解決する研究を中心に取り組んでいます。この成果を形にする第一弾として、埼玉県久喜市で温泉複合施設を営んでいる山竹と連携し、高専の技術を組み込んだ養殖システムを使い、2023年11月をメドにウニの初出荷ができるよう準備を進めています! (海なし県&KOSEN発 水産養殖プロジェクト)
 本講演会と記者発表会は、高専と山竹の連携事業のキックオフ宣言を起点に、海なし県で新たな連携の輪を広げ、日本の水産業を「陸」から盛り上げていくという期待を込めて開催しました。

◆講演会と記者発表会の様子
 キックオフ宣言は、2022年12月15日(木)、埼玉県・久喜総合文化会館の小ホールにて、一般の方向けの講演会(14時~、約60名参加)、報道機関向けの記者発表会(15時半~、新聞6社、TV3局)の二部構成という形で実施しました。
 講演会に先立ち、久喜市 梅田修一 市長、山竹の山中大吾 専務、本校の荒木信夫 校長からご挨拶をいただきました。梅田市長は、「一関高専や山竹と協力し、養殖ウニを久喜市の特産品として開発したい」、山中専務は、「一関高専と連携し、温泉を使ったウニ養殖によりコロナ禍での厳しい経営を打開したい」、荒木校長は、「高専はものづくりが得意で、管理して魚介類を育てる陸上養殖との相性がいい。このプロジェクトをロールモデルとして全国に展開していってほしい」と、本プロジェクトに対し大きな期待を寄せてくださいました。

 
 講演会では一関高専の渡邊崇 准教授(GEAR5.0農林水産領域分野 一関高専ユニットサブリーダー)から、水産業と水産養殖の現状と課題、GEAR5.0農林水産領域分野の取り組み、海なし県&KOSEN発 水産養殖プロジェクトの概要と展望を説明、紹介しました。渡邊准教授は、海なし県で魚介類の養殖を可能にする閉鎖循環式陸上養殖の二大課題となっている浄化とコストについて、国立高専機構と山竹の共同特許であるオゾン浄化技術を核に、温泉水や地下水を利用した水温管理システム、人工知能(AI)による自動の餌やりシステムなどを開発することで解決していくプランを説明しました。さらに、これらの技術を導入した養殖システムを2023年3月までに構築し、同年9月から試運転を開始、同年11月に計6,000個のウニを施設内及び地元の飲食店や首都圏へ出荷できる体制を整える構想を発表しました。
 記者発表会では、講演会のダイジェスト版という形で本プロジェクトのキックオフ宣言を行いました。
 “海なし県”で“水産養殖”というワードは、非常に注目度が高く、多くのメディアに本プロジェクトの内容を取り上げていただきました(日本経済新聞、読売新聞、毎日新聞,東京新聞、テレビ埼玉、ケーブルテレビ久喜)。
 今後、連携企業に寄り添いながら着実に準備を進め、本プロジェクトを成功に導きたいと考えています。

講演会で発表する渡邊崇准教授

GEAR5.0 農林水産領域分野の取り組み概要

◆GEAR5.0農林水産領域分野
 未来技術の社会実装教育の高度化を目指す国立高専機構の事業、「Society5.0未来技術人財育成事業・GEAR5.0」の一分野である農林水産領域分野は、中核拠点校である鳥羽商船高専と協力校4校(函館・一関・和歌山・阿南高専)を中心に、「「とる」から「つくる」へ農林水産業のDX推進プロジェクト」をメインテーマとして活動しています。