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教育・研究
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「特徴ある授業」紹介

「特徴ある授業」紹介 Vol.1

機械工学科3年「機械設計実習Ⅲ」
機械工学科4年「創成工学実験」

担当藤原康宣(未来創造工学科 機械・知能系)

機械設計実習Ⅲ(機械工学科3年・通年2単位)および創成工学実験(機械工学科4年・通年2単位)を担当している藤原です。これら授業は、2年にわたってロボットを開発するエンジニアリング・デザイン科目です。私は機械技術部(ロボコン)の指導もしており、普通の学生にもロボットを開発させたいと思い、この授業を考えました。以下では、これら授業の概要や授業の狙いなどを述べようと思います。

授業概要

「機械設計実習Ⅲ」では、最終的に「相撲ロボット」を完成させ、コンテストを行います。その準備として、前期の間は、3D-CADを基礎から教えます。部品一つ一つを設計し、設計した多数の部品を組みあげたときに、どのように動作するのかをパソコン内でシミュレートできるようになるまで3D-CADの操作に慣れてもらいます。3D-CADの操作が得意な学生もいれば、苦手とする学生もいますが、苦手な学生を得意な学生が手取り足取り教えてあげる光景が各所で見られます。自然とアクティブラーニング型授業になりますね。

ロボットの設計

ロボットの設計

学生による指導

学生による指導


次に、実際に製作するロボットを構想します。学生が製作するロボットは「相撲ロボット」で、攻撃機構と移動機構を必ず備えていることを要件にしています。学生は二人一組のグループを組み、どのような機構で動作を行うかアイデアを出し、3D-CADで設計をし、3D-CAD内で組み立てて動作させます。部品同士が干渉して動作不能となることはないか、この時点でしっかりチェックしておかなければなりません。


設計が済んだら、今度は実際のロボット製作に取り掛かります。部材として提供されたアルミ板とアクリル板を帯鋸盤やボール盤、ベンダーマシンなどで加工し、部品を製作していきます。部品が完成したらそれらを組み立て、ロボットが完成します。ロボットは有線コントローラで動作させます。

ボール盤

ベンダ

帯鋸盤

完成した相撲ロボットでグループ同士対戦し、勝敗を決めます。相撲の土俵は直径1mで、相手を土俵外に押出すか、相手を転ばせて対戦不能にすれば勝ちです。試合は2分間です。

3Dモデル

完成したロボット

コンテスト

コンテストの様子

最後に、自分が製作したロボットのコンセプトや苦労した点などを発表会でプレゼンして1年間の授業を締めくくります。


次年度の「創成工学実験」では、3年生のときに製作したロボットにマイコンを搭載し、自律走行ロボットを開発します。

自律走行ロボットなので、動作を制御するプログラムの開発から始めなければなりません。学生は3年生のときに基本的なC言語プログラムは修得していますが、まずはその復習から始め、それからモータの制御やシリアル通信などの組込み技術の要素学習へと進んでいきます。

自律走行ロボットには距離センサを搭載し、迷路コース完走を目指します。そのため、距離センサ情報からモータを制御して壁に接触せずに回避しながらゴールを目指すプログラムを組みます。どのようなアルゴリズムでゴールを目指すかも自分で考えないといけません。

創成工学実験の様子

この授業の狙い

ロボット製作は、二人一組でやってもらいます。三人以上になると、作業分担をしっかりし過ぎて他人のする作業に無関心になったりしてしまいます。学生には、ものづくりに必要な基本技術は一通りマスターしてほしいので、一人一人が作業をせざるを得なくなる少人数グループを組ませます。

実際に部品を製作してみると、どうしても誤差が生じます。一つ一つの部品ではたいした誤差ではなくても、多数の部品を組み立てると大きな誤差になり、バランスが悪く真っ直ぐ歩行できないロボットになってしまいます。そのため、足を構成する部品を左右取り替えて組み立て直し、もっともバランスの良い部品の組合せを探させるなど、様々な工夫をさせます。学生はこの授業を通して「ものづくりの知恵やノウハウ」を学ぶと思います。

この授業は構想→設計→製作というものづくりの一連の流れを実践するわけですが、自分が色々な授業で学んできた知識を有機的に関連づけるという効果もあります。学生は低学年から材料力学や材料工学、設計法などの座学で知識を蓄積していますが、それらの知識がまだ「テストで点を取るための知識」に留まっています。一方、この授業のような実践的なものづくりの授業では、今まで習った知識を系統的に使用することが求められるので、逆に今まで習ってきたことについての理解が深まるという効果も期待できます。

学生には、とにかく「自分で考え、自分でやってみること」を求めます。「技術」というものは(理論)+(実践)であるので、授業で習った系統的知識を実践で確かめることで確かな技術が身につくと思います。

会社で働くようになると、課題解決能力が問われます。課題の解決法は唯一無二というわけではなく、複数あることが多いです。課題を正しく認識し、解決法を複数考え、それらの解決法のうち最も現実的なものを選択し、具体的にその解決法を実行する能力が問われます。ここに挙げた二つの授業は、そのような能力の涵養の一助になると思っています。