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教育・研究
教育,研究

 一関高専では、「男女共同参画推進委員会」を設置し、男性も女性も働きやすい職場づくりを推進しています。「男性も女性も、意欲に応じて、あらゆる分野で活躍できる社会」を目指し、改善活動を展開しています。


活躍する女性インタビュー(男女共同参画企画)

活躍する女性インタビュー
Vol.3

未来創造工学科 総合科学人文社会領域

下川理英 先生

「活躍する女性インタビュー」第3回目は未来創造工学科 総合科学人文社会領域の下川理英先生です。下川先生は本校の英語科教員として、研究、教育、国際交流の推進に尽力される一方で、2人のお子さんを子育て中の母親でもあります。下川先生には一関高専での仕事にかける思い、仕事と育児、地方での子育ての経験などについて興味深いお話をうかがいました。


インタビュアー:先生が一関高専に着任されたのは2010年4月でしたね。

私は東京出身で、東京の大学の博士課程を満期退学した後に、2年間非常勤を務め、その後に一関高専の教員になりました。海外留学の期間を除いて、東京を離れて生活するのは一関が初めてでした。初めての地方での生活に東京が恋しくなることもありましたが、翌年の3月に東日本大震災があり「そんな場合ではない」と一関で生活していく決心をしました。

---先生はどのようにして研究者を目指されたのですか?

大学では比較文化学を専攻し、アメリカ文学について学びました。私は英文科や英語学科の出身ではありません。そのため、大学3年生のときに1年間ニューヨークに留学しましたが、その当時は英語が得意ではありませんでした。しかしながら周囲の人たちに助けられて過ごすうちに、英語力は1年間で大きく向上し、その他の面でも自分の成長を実感することができ、帰国したときには「もっと学びたい」と考えるようになりました。その後、大学院修士課程、博士課程と進学して、マイノリティの文学に興味を持ち、アメリカの黒人文学や、現在の研究テーマでもあるジェイムズ・ジョイスを中心としたアイルランド20世紀小説を研究してきました。

---文系の先生から見て、一関高専という理系の学校はいかがですか?

実は私の母が建築士で理系の女性なので、理系の人にも親近感はありました。実際に一関高専で働いてみて、学生も教職員も合理的な考え方をする人が多いということと、世間一般に揶揄されるような頑なさはなく、共感力に優れたやさしい人が多いと感じています。またこれは東北の人の特徴なのでしょうか、初めて接するときには壁を感じるのですが、いったん懐に入れてもらうととても親切でやさしい人が多いので、そこがヨーロッパの中でも地方であるアイルランドと似ている気がします。

---先生は国際交流委員会でも活躍されています。

自分自身が海外留学で大きく成長することができたので、高専の教員として国際交流に力を入れたいと思って頑張っています。私は国際交流を通して一関高専の学生の皆さんの視野を広げてやりたい、特に日本を飛び出そうとする学生たちの背中を押す役割をしたいと思っています。1つのターニングポイントは数年前に岩手県の会合に参加して「グローカル」という言葉を知ったことです。現在は育児中であり海外に出ることが難しくなっているのですが、この言葉を知って、一関にいながら留学生を受け入れ、学生たちを海外に送り出すことで世界とつながることができる「グローカル」な仕事にやりがいを感じています。

---今のお話にもありましたが、先生は機械・知能系の中嶋先生とご結婚されて、今は2人のお子さんの育児中です。結婚・出産を経て生活はどのように変わりましたか?

まず出産前までは毎年行っていた海外出張は出来なくなりました。また以前は研究や学生対応で遅くまで学校にいることもありましたが、今は5時で帰らなければなりません。でもこの状態がいつまでも続くわけではありませんので、今は子育て中心でやる時期なのだと考えています。私たち夫婦はお互いの実家から離れた土地で暮らしているので、親に子育てを助けてもらうことができません。しかしながら一関には、自宅、職場、保育園が狭い範囲に集中しているという都会にはない地方のメリットがあります。車社会でもあるので、移動もスムーズです。また私たちは職場が同じであるため、お互いに仕事や家事をフォローし合うことができます。新型コロナで保育園が休みになってしまったときも、お互いに授業などのスケジュールを調整して乗り越えることができました。

---最後に一関高専の学生へのメッセージをお願いします。

留学でも、課外活動でも、様々なことに好奇心を持ってチャレンジして欲しいと思います。一度は生まれ育った土地から離れて、生活してみるのもいいと思います。また授業は一期一会のライブですから、一緒に楽しんで欲しいと思います。

活躍する女性インタビュー
Vol.2

未来創造工学科 電気・電子系

八木麻実子 先生

「活躍する女性インタビュー」第2回目は未来創造工学科 電気・電子系の八木麻実子先生です。学校では教育者・研究者であり、そして家庭では妻であります。八木先生には女性教員としての教育・研究についてお話を伺い、女性研究者や本校学生にメッセージをいただきます。


インタビュアー:先生のご来歴をお聞かせください。

茨城県出身で2018年東京農工大学大学院工学府電子情報工学専攻を修了して、一関高専の教員となりました。

---先生の専門分野をお聞かせください。

ナノエレクトロニクス、ナノテクノロジー、走査型プローブ顕微鏡、その場観察、エレクトロマイグレーション、ナノギャップ、微細加工、電子デバイス等です。

---先生が現在取り組んでいるあるいは注目している研究専門分野をお聞かせください。

新しい原子操作技法の開発に関する研究に取り組んでいます。

---職業としての研究者を意識した時期及び理由をお聞かせください。

中学生頃です。小学6年生頃まで、東京都・神奈川県で過ごし、大気汚染をどうしたら改善できるのかを考え始めて、中学生時代には漠然とではありますが、環境をクリーンにするものづくりの職業(研究者、エンジニア)を意識し始めました。

---職業としての研究者を目指そうと明確に意識した時期及び研究者になることを決意した時期、またその理由をお聞かせください。

大学院博士前期課程2年生頃です。大学入学前から大学院(博士前期課程)へ進学することは考えていて、大学の講義を通じ電子物性・電子デバイス・量子力学の世界に魅了され、原子や電子を操り原子が移動している様子を実際に観てみたいという知的好奇心から、ナノエレクトロニクス・ナノテクノロジーを専門とする研究室を選択しました。そこでは新しい原子操作技法の開発に関する研究に取り組ませていだきましたが、まだまだ研究したい内容があり腰を据えて研究に取り組みたいと考えるようになりました。また、海外での国際会議における研究成果発表や英語の学術論文の執筆を経験してから、海外でも活躍できる研究者を目指そうという意識が芽生え、海外で研究者として活動する場合や高専教員になる場合は博士の学位が必須だと知り、将来、研究者になるために博士後期課程へ進学することを決意しました。

---女性研究者へのメッセージ

女性研究者・技術者を多数輩出しようという社会情勢のもと、多くの方々が尽力されていることと存じます。私も高専の一教員として、多くの学生に研究・教育職の魅力およびモノづくりの奥深さ等を伝えていければと考えております。

---女性研究者を目指す学生へのメッセージ

研究者になるには様々なルートがあると思いますが、計画通りに進まないことを前提に、自分が大事にしていることは明確にし、自分にとってより良い選択をしてもらえれば良いのかと思います。

---本校学生へのメッセージ

本校は早期に実践的なものづくりに触れ、将来の技術系職業にアドバンテージとなるような環境が整備されつつあります。当該環境を大いに活用するには、みなさんの積極的・能動的参加が求められてきます。様々な悩みを抱える学生さんも少なくないかと思いますが、悩み事を忘れて没頭できる何か(あるいはきっかけ)を、高専で見つけてもらえればと期待しています。

活躍する女性インタビュー
Vol.1

未来創造工学科 化学・バイオ系

木村寛恵 先生

「活躍する女性インタビュー」記念すべき第1回目は物質化学工学科の木村寛恵先生です。教育者であり、研究者であり、そして母でもあります。木村先生に働きながらの子育てについてお話を伺い、一関高専が働くママにとっても働きやすい職場になるためのご指針を提示していただきます。


インタビュアー:先生のご来歴をお聞かせください。先生は一関高専OGなのですね?

木村:そうです。背が高くなりたくて、バスケットボール部に所属していました(笑)。卒業後は岩手大学に3年次編入し、修士課程まで進みました。本当に研究が楽しくて。

---修士課程終了後は,就職されたのですね?

はい。群馬県でエッチングの研究をしたり、福島でセンサーを扱ったり。つくば市では(独)産業技術総合研究所でテクニカル研究員として働きました。そのときにカーボンナノチューブに出会い、実験をするうちに結果も出てきて。学会発表なんかもやらせてもらいました。そのうち、指導教授が筑波大の博士課程にいくことを勧めてくださって、私も一念発起頑張ってみようと決心したんです。

---そのときは既に結婚してお子さんもいたのだとか。

しかも、旦那は単身赴任中で、一人で子育てしないといけなかったんです(笑)。働きつつ子育てをし、研究&勉強もしなければいけない。子供もまだ小さかったですし、大変でしたね。ただ、メリハリはありました。職場では限られた時間の中で仕事の能率を最大化することに集中するので子供のことは頭の中から消えているんです。逆に仕事から帰宅したら、家事と子供の世話に頭が切り替わり、仕事や研究のことは一切考えません。そういうメリハリをつけられたので続いたのかな、と思いますね。本当にタイヘンで、あの頃は私のベストを尽くしたと思えます。あれ以上はムリです。ただ、子育てと仕事、そして研究の両立はタイヘンでしたが、子供がいたから頑張れた、とも思います。あの頃、「あきらめちゃダメ!」と何度も自分で自分を奮い立たせましたが、それも子供の存在があってこそだったのかな、と。

---現在も含めて、子育て環境は如何ですか。

子育てに限らず、私は本当に環境に恵まれてきました。高専での学生時代は良い先生や友達に恵まれました。会社や研究所で働いているときも、皆優しくて、いろいろなことを教えてくださいました。子育ての面でも、保育所の先生方には本当にお世話になりました。

---本校の子育て環境については。

産休や育休期間は恵まれていると思います。ただ、教員だと、実験実習の授業は休むわけにはいかないとか、自分がいなくなると他の先生に仕事のしわ寄せがいって迷惑をかけてしまうだろうな、と思って産休や育休をとることを躊躇してしまうかもしれません。ましてや担任を持っていたり、研究室を持っていたりすると・・・。休暇をとっても他の先生に迷惑がかからないような制度設計が少しずつでも実現できれば良いですね。
私は子育て中、ということで寮の宿直は免除していただいています。本当に感謝しています。部活顧問についても少し配慮していただけると嬉しいですね。

---男女共同参画という観点から何かご提案はありますか。

私は普段、自分が女性であることをことさら意識することは無いです。それだけ、女性にも働きやすい職場なのだと思います。ただ、女性教員ということで、女性研究者向けセミナー参加を依頼されたり、女子学生による学校紹介リーフレットの作成指導を依頼されたりすることも多いです。「男女共同」参画というからには、女性だけではなく、男性も一緒にやりましょうよ!とも思うんですよね。