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2021/02/26
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谷川享行准教授が所属する研究グループが2020年度日本天文学会欧文研究報告論文賞を受賞

 本校総合科学自然科学領域 谷川享行准教授が所属する研究グループの論文が、2020年度 日本天文学会欧文研究報告論文賞を受賞しました。
 欧文研究報告論文賞とは、欧文研究報告 (Publications of the Astronomical Society of Japan ) に、原則として過去5年以内に掲載された論文の中から、独創的で天文学分野に寄与の大きい、特に優れた論文の著者(共著の場合はすべての各共著者)に対し授与されるものです。
 今回受賞の対象となった論文のタイトルは、” Mass constraint for a planet in a protoplanetary disk from the gap width ”、でPublications of the Astronomical Society of Japanより2016年に出版されました。
 本論文では、まず、惑星の母体となる原始惑星系円盤(若い恒星の周りに存在するガス円盤、以後母円盤)の中で、惑星が実際に存在するとしたら、母円盤が惑星重力により受ける影響について、国立天文台のスーパーコンピューターを用いた数値流体シミュレーションにより詳細に調べました。この結果から、惑星が存在することにより母円盤に現れる特異な模様である"溝構造"(惑星軌道上のドーナツ状に円盤ガス密度が低下する構造)の性質(幅や深さ)を表す公式を導きました。この公式により、惑星を産み出したサインとして母円盤に現れる"溝構造"の様子から、直接観測することは難しい惑星の存在およびその質量、並びに母円盤の物理状態(温度など)を推定することが可能となりました。より具体的には、干渉型大型電波望遠鏡である ALMA (Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) に代表される近年の高解像度天文観測によって、太陽系外で惑星が形成しつつある現場を捉えられる可能性を示したもので、その重要性を認められ受賞したものです。

吉田校長に受賞報告する谷川享行准教授(右)