カゼインプラスチック

 創成化学工学実験 1班。1班


  1. 動機と構想

     実験テーマを決める調査の際、牛乳からプラスチックを作ることができると知り、しかも家で作ることが出来ると分かったので、小中学生に理解・再現してもらえる常識子覆す実験だと思ったのでやろうと思った。

     上記の理由から実験は家庭で手に入るものを中心に出来るようにしながら行なった。また、牛乳だけではなく豆乳でも同様に実験を行うこととした。


  2. 原理

    1. 牛乳にはカゼインと呼ばれるタンパク質が自身の持つ負の電荷により反発しあいながら浮遊している。(これにより牛乳に入った光がカゼインにぶつかり散乱し牛乳が白く見える)




    2. カゼインに(H+を加えるとカゼインの持つ負の電荷が酸に奪われる




    3. 負の電荷が無くなったことでカゼイン同士が互いに引き寄せあうことにより沈殿する(等電点沈殿と呼ぶ)



       ここでガーゼ等を用いて濾し取ることでカゼインを分離することが出来る。(このとき残った液はホエーと呼ばれる)



    4. カゼインは乾燥させるとカゼイン同士の間にある水分が抜けて結びつく(縮合




    5. 圧力をかけるとカゼインが大きな分子となる(重合




    6. dとeを繰り返すことによりカゼインが強く結びつき硬くなっていく。
      なお、豆乳はカゼインが豆乳タンパクに変わっただけで原理は同じため省略する。




  3. 実験操作

  4. 実験結果

    1. カゼイン+豆乳の混合実験

      →豆乳を含む割合が高いほど多く分離できたがその分成形が難しかった。また豆乳が多いと加熱した時により硬くなるが、成型時よりもふたまわり程縮んだ


    2. 着色実験

      →どちらも綺麗に着色したが、酸の前に加えた方が塊が無くより綺麗だった


    3. 消臭実験

      →どちらも乾燥前は灰色だったが、乾燥後は真っ黒になり牛乳臭さは消えていた(割ると内部に閉じ込められていた臭いがあふれだした)


    4. 成形実験

      →星形・花形・ハート形・熊型・棒状はいずれも割れやすかったが、丸形は結構硬かった。厚さは厚い方が硬く、大きさは小さい方が割れにくかった。


    5. 燃焼実験

      →火は燃え移ったが、すぐに消えて肉やスルメが焦げた匂いがした。また、プラスチック自体は炭化しただけだった。


    6. 溶解実験

      →周りの所が少しぼろぼろと取れたが、全体は溶けも崩れもしていなかった。


    7. ホルマリンによる硬化実験

      →成型時よりも少し硬くなったが、簡単に折れてしまった


    8. 耐久実験1

      →牛乳10割より牛乳2割:豆乳8割が一番強いと分かった。


       混合割合 
       牛乳:豆乳 
       耐えられた最大の重さ[g] 
       @  A  B  平均 
      10:0100190280190
      8:290110200133
      5:550558563
      2:8270120320237
      0:1011080120103



    9. 耐久実験2

      →サンプルによって個体差があったが大体3階位の高さまでは耐えることが出来ると分かった


       サンプル名→ 
       階数↓ 
       A  B  C  D  E 
      5階×××××
      4階××××
      3階××
      2階
      1階



    10. 生分解性実験

      →土に植物が生えてきて、掘り返してみると土の塊が出来ていた。 それから土を慎重に取り除くと、硬いプラスチックがカマンベールチーズの様に柔らかくなっていて、さらに白菜の漬物が腐ったような悪臭がした。豆乳の多い方が少しだけ早く分解が進んでいた。



      図 実際に耐久試験に用いた試料





  5. 考察

    1. カゼイン+豆乳の混合実験

       豆乳の方が豆乳タンパク間の水分が多く抜けやすいためその分縮み、キッチンペーパーでの脱水で水分のほとんどを逃がしてしまい表面が乾燥することによりぼろぼろになりまとまり辛かったのだと考察する。一方牛乳は水分が少ないがその分カゼインが密になっており、さらに最低限の水分を保持することが出来るのでまとまりやすく縮みもしないのだと考える。


    2. 着色実験

       酸を加えた後だとカゼインがくっつき表面積が少なくなってしまうため上手く着色が出来なかったのだと考える。


    3. 消臭実験

       加熱前は水分を含むためカゼイン間の距離が少し広いのでカゼイン本来の白さがまざり灰色に見えるが、乾燥することでカゼイン間の距離が縮み、より多くの波長の光が捕らえられ真っ黒に見えたのだと考察する。


    4. 成形実験

       星や花・ハート・熊形は力がどこか一点に集中しやすいため割れやすいが、丸は力が上手く分散されるため割れにくかったのだと考える。厚いのは単純に層が厚いため割れにくく、小さいのは力が加わり辛かった為だと考察する。


    5. 燃焼実験

       加熱することで内部に含まれている水分が出てきたことにより燃えづらかったのだと考える(事実火に当て続けると水分の様なものが染み出し溶けるように燃えていった。臭いに関してはそれがタンパク質特有の匂いなのだという事で結論付けた。


    6. 溶解実験

       泥団子やおにぎりの様な、力によって固まったのではなく分子レベルでの結合の為簡単には壊せないので特に溶けることは無かったのだと考察する。


    7. ホルマリンによる硬化実験

       ホルマリンの濃度が薄かった可能性を考えた。他には成型前の脱水が足りずホルマリンによる脱水量を上回る水分を含んでいたなどが上手くいかなかった原因として考えられる。


    8. 耐久実験1

       Aでの考察に書いた通り、最初の水分量により結合力に差が出るのが一番の理由として考えられるが牛乳10割よりも強い所をみると、豆乳タンパク8割の結合の間にカゼイン2割が繋ぎ手として結合することで硬くなったのだと考える。


    9. 耐久実験2

       4階以上だと位置エネルギーが大きくなるため、耐えることが出来なかったのだと考える。


    10. 生分解性実験

       植物が成長してきたことから、きちんとプラスチックは分解され栄養になっていると推測される。豆乳の方が分解が早かったのは、Aで挙げた通り豆乳は水分の出入りが容易なため水分が染み込みそこから分解されていったからだと考察する。




  6. 感想




物質化学工学科Top
一関高専Top