本校の地域共同テクノセンターは平成18年4月に設置され、産学官交流の拠点及び学内共同教育研究施設として活動してきました。平成21年度には企画広報、共同研究、技術教育の3部門及び地域コーディネータを中心に、積極的に展示会への参加、各種広報活動、技術相談会、知財教育や特許出願等に取り組んできました。さらに岩手県イノベーション指針策定への参加、他機関との協定締結等の支援を行ってまいりました。
この活動の背景には、北上川流域の自動車や半導体を軸とする活発な産業展開への対応があります。本校はこの産業地帯の中央部にあり、産業界から大きな期待が寄せられています。この期待に応え、センターでは地域ニーズの把握と学生教育や共同研究への反映、地域の各種委員会での提言活動や技術相談等を通じたソリューションの提供を行ってきました。例えば学内の取組みでは、地域産業との連携によるCOOP教育の支援、また農工連携、環境、QOL向上等の地域ニーズに対応した4分野のプロジェクト研究の体制整備を行いました。一方、学外の取組みでは、県南技術研究センターとの共同で人材育成活動の実施、一関市と共同で全国規模展示会への参加、またものづくりコーディネータ、組込みコンソーシアム、技術相談会や地域サロンの実施により多様な提言活動を行いました。
本センターは以上のように活発な連携活動を行ってきましたが、この活動の狙いは、「地域イノベーション」の推進にあります。地域イノベーションといえば、新産業・新事業創出等様々な考えがあるようですが、本センターの視点では、人やモノ、コト、カネ等を束にしたエネルギーの盛んな授受活動を行い、自己変革により組織体の適応活動を行うイメージでとらえています。
学校教育法では、高専という学校種は、時代にマッチした職業能力の育成が期待されている組織体です。このような組織体の動きは、周囲環境に不断に適応して自己組織化する散逸構造や、生物系ではオートポイエーシスを連想させます。本センターは例えて言えば、そうした系の感覚器官や手足部分に相当するでしょうか。周囲の多様なエネルギーに対し、感覚器官をフルに活用して学校の系に反映し、また学外へのソリューション提供により、新たな環境要素を周囲に創出する活動を行ってきたといえます。高専のみならず、地域の産学官構成機関等がこうしたイメージを共有し、時代にマッチした適切なタイミングで、多様なエネルギーを地域全体で一斉に交換する共鳴振動的な状況が実現できるなら、それが地域イノベーションではないか、と考えている次第です。
昨年度のセンター活動は、こうしたイメージを背景に取り組んでおりました。平成22年度も、地域の切実かつ多様なデマンドに対応しつつ、学のリソースやソリューションを積極的に提供していく所存です。そしてこの考えが広がり、散逸構造のような渦を地域総力で創りだし、グローバル経済に対応しつつ地球環境保護にもつながる持続可能な産業社会を、この地に創出できれば、と願っているところでございます。今年度もセンターへのご支援を、なにとぞよろしくお願い申し上げます。