平成18年度 一関高専 厚生補導研究会(H18.8.22)
講演:発達障害に対する理解と支援のあり方
岩手県立南光病院第2精神科長  稲冨 浩

1.発達障害の概要
自閉症の方の手記から(幼年期)

こんにちは。 南光病院の稲冨です。 よろしく、お願いします 皆さんは、自閉症の方を見たことはありますか? 今までも自閉症の方はおられたのですが、 自閉症という診断がついていなかったので 自閉症の方かどうかが分からなかっただけなのです。 全然イメージがつかないと思いますので、 最初に資料をもとに当事者の手記をちょっと見ていきたいと思います。 自閉症を正しく理解してもらう社会を作るために ALAAHFAという当事者の方が作った団体があります。 ALAAHFAとは、「LD、ADHD、アスペルガー症候群および高機能自閉症の障害を持つ 成人」を英文表記して、 Adults with Learning disabilities, Attention deficit hyperactivity disorder, Asperger syndrome and High Functioning Autism の頭文字をとったものです。 以下は、この団体が発行している 「こんなサポートがあれば!」(梅永雄二編著、エンパワメント研究所、 ISBN: 4-88720-432-9) という冊子に書かれているものです。ちょっと読んでみます。

自閉症を正しく理解してもらえる社会を!
山田礼子(仮名、ADHD+アスペルガー症候群)

私は物心ついた頃から自分以外の人間に関心がありませんでした。人より 人が身につけている服、服の柄、持ち物にしか関心が ありませんでした。また、ままごとなどの擬似遊びが苦手でした。 たとえば、ままごとは、小石や砂を食べ物にたとえて周りの子どもたちは 遊んでいても、私は「小石や砂のどこが食べ物なの?」と違和感を 覚えました。同年代の子どもたちとの遊びにもついていけず、 体は勝手に人が居ない所へと行くようになりました。幼稚園に入園する まで毎日一人で公園の砂場で遊び、家では絵を描いて遊んでいました。おもちゃ で遊ぶことはほとんどしませんでした。同年代の子どもたちとの 興味の対象が違っていたと思います。 幼稚園に入園する前、絵を描きまたは質疑応答する テストが幼稚園でありました。

(中略)

私はある日幼稚園の外で砂を投げて遊んでいました。 すると近くにいた子に「何するのよ!」と怒られました。 砂を投げて飛び散るところが綺麗だったのになぜ? と思いました。 このように普通の子どもとは違った行動をしていました。 幼稚園の卒園式終了後、母は担任に呼ばれ、 「お宅のお子さんは知能に異常があるかもしれないので 病院で診てもらうことをお勧めします」と言われたと 母が話していました。 母はショックだったのか「先生にこんなこと言われた!」 と私を責めました。 私は責められ、とても悲しい気持になったことをおぼえています。 小学校高学年の時、その出来事を思い出し、 「責める前に私を病院に連れて行ってくれてもいいではないか!」 と思い、母に頼んだところ、病院で何を言われるか分からないから」 と断わられました。 「私は本当のことを知りたい、ただそれだけなのに」と言っても 母には伝わりませんでした。 そして、その出来事はいつまでも心に引っかかっていました。

自閉症は大体こんな風に始まります。 この方は他にアスペルガーやADHDとの診断もあるようですが、 一般には発達の初期の段階から少し変わったお子さんとして 見られてくることが多いのです。 高専は理系の学校ですよね。 ADHDなどの自閉症スペクトラムと言われるお子さんは、 言葉や対人関係はあまり得意ではないのですが、 数学や数の扱いがすごく得意な方がおられます。 たとえば、小さい頃に「カレンダーボーイ」 と呼ばれる子供もいます。 そのようなお子さんに「1952年の5月8日は何曜日ですか?」と聞くと、 即座に答えが返ってきたりするのです。 「レインマン」と映画をご覧になった方はおられますか。 ダスティー・ホフマンが自閉症のレイモンドの役をやりました。 その映画の1シーンで、 爪楊枝の入った容器が倒れて爪楊枝が床に散らばります。 それ見たレイモンドが、即座に 「爪楊枝の数は全部で247本だ」と言うのです。 それを聞いていた店の主人が「惜しいね、それは250本入りだよ。」と 言うのですが、さっき3本使ったので本当に247本しかなかったという ことがその後で明らかになるのです。

このように、自閉症の方の中には、 ちょっと特異な頭脳を持った方がおられるのです。 私のイメージでは、 このような方は割と高専を選択しやすいのではないか、 というイメージがあります。 その理由は、頭脳が理系向きであるということの他に、 このような方は集団の中に受け入れられにくいお子さんで あることが多いということがあります。自閉症のお子さんは、 同じ中学校の人が多く行く学校を選びたがらない傾向があります。 そうすると、自分の志向と向いていそうで、 他の人があまり行かない学校となると、 高専が選ばれそうに思われるのです。

ただ、実際にそうなのかどうかはちょっと分かりません。 しかし、以上のようなことがあるので、皆さんには、 もしかしたら彼のことかもしれない、彼女のことかもしれない、 という思いが沸いてきたかもしれません。

それでは、 自閉症という診断をつけることにどんな意味があるのか、 またどんな風に支援していけばよいのか、ということが 最終的にイメージできるように、 これから話しをつなげていきたいと思います。


自閉症の方の手記から(学校時代)

さて、自閉症の方の手記に戻ります。 この方は、いじめられたり、人間関係で友達ができない などがあります。

小学校の時は通知表によく「忘れ物が多い」「のんびりしすぎ」 「団体行動ができていない」「友だちを作らず一人でいる」 などと書かれました。同級生からは「変な子」と言われ、 いじめられました。いじめは学年を追うごとに むごいものになりました。 低学年の時は文房具を取られたり、隠されたり、給食を 配ってもらえなかったり、図工の工作物を壊されたり、お金を 取られたりなどのいじめを受けました。

(中略)

私は6年間学習塾に通っていました。小学6年生になってから塾の先生に お願いして、学校の授業より先に勉強の内容を教えていただきました。 それにより勉強は少しついていけるようになりました。 体育の授業では他の生徒たちはルールを理解することはできるけれど、 私は理解できなくて周囲の足を引っぱりました。 それで私とチームを組むのをいやがられ、先生が生徒をたしなめて ようやく入れてもらえるという感じでした。 でもプレイ中は周囲の動きについていけず、 「ぐずだ」「のろまだ」「ばかじゃないの」と言われ続けました。 授業中に教科書を皆の前で読む、発言する、給食の食べ方、 しゃべり方、歩き方など私のすべての動作がこっけいでぎこちなく、 からかわれ、いじめのネタになりました。

(中略)

人間関係では友だちができませんでした。学年が上がるにつれて 自然に仲良くなりたいという気持が生まれました。 でも、いざ友だちを作ろうとしても何を話したらいいのか わかりませんでした。私はなんと話しかけようか考えたすえ、 「家にはいくらお金があるの?」と話しかけたことがありました。 幸い相手は怒りませんでしたが。

これを見ると、この方には2つの障害があります。 「動作がうまくいかなかった」というのは、 ADHD(注意欠陥多動性障害) の可能性がありますし、 「ルールがよく分からない」という部分については、 自閉症の圏内の可能性があります。 そして、この方は、中学校・高等学校に入っても いじめが続いていくようです。

中学校になってもいじめは続きました。 口で心ないことを言われました。 「なんでこいつと隣の席にならないといけないんだ。 明日から学校に来るな。」 「近よるな」「ばか」「死ね」と言われることは日常茶飯事でした。

(中略)

高校受験のとき、同じ中学の人がいない高校を探して受験しました。 高校で同じ中学の人がいたらまたいじめられると思ったからです。

高校ではいじめはなくなりました。多くはないけれど、友だちができました。 先生も、「礼子さんの個性だから」と理解を示してくれました。

(中略)

私は高校卒業後、英語の専門学校に2年間通いました。 人と関われなくて友だちはあまりできませんでした。


自閉症の方の手記から(就職)

この方は、専門学校を出た後は、海外の レストランにウェイトレスとして就職します。

専門学校卒業後、海外の日本食レストランにウェイトレスとして就職しました。 入社後、数ヶ月は同期入社の人たちとサービス業の研修を受けました。 私は何もできず、失敗ばかりしていました。

この人は、「ウェイトレスを選んでうまくいかなかった」と 書いていますが、「ウェイトレス」という職業を選んだことに 問題があるのです。わざわざ自分の苦手なことを選択して、 それを克服していこうという現れだろうとは思うのですが、 実際には向いていないのです。 あまり向かない仕事を選んでしまったのです。 そのようなときに、職業適性などを考えて助言してくれる方が 周りにいれば、 この人はその後は失敗しないですんだかもしれないのです。

「オーダーが正しく取れない」「数を間違える」「テーブルに注文したのと 違う料理を運ぶ」「オーダーを通し忘れる」など、初歩的なことが できませんでした。

(中略)

仕事中は動作を止めて考えていると「何ぼんやりしているの?」 と注意されます。怒られ、注意されて私は「すみません」と 言っているばかりでした。とうとう従業員の人に 「あなたのすみませんは聞きたくない」と言われ、 ミスをしても謝らないようにしたら、今度は 「ミスをしても謝らないなんて!」と怒られました。 私は、「あれ?『すみません』は聞きたくないと言っていたのでは?」 と納得できませんでした。

こういったところは、非常に自閉症圏内の子供さん達の 特徴的な言葉の捉え方になっています。 言葉の裏の意味とか、その場にあった言葉のニュアンスという ようなものが伝わりにくいのです。 この人は、この後、海外のレストランで働くようですが、

とても忙しい職場だったので動作が遅い私は周囲に怒られ迷惑を かけました。(中略) 私は同時進行2つが限度でそれ以上テーブルを持つと 他のテーブルがおろそかになるのです。 お客さんからは「あの人なんとかしてください」と言われたと 上司から何度も聞きました。

(中略)

朝起きると起き上がれなくなり、しょっちゅう胃を悪くして食事も 取れなくなり、このままではいけないと思いました。 私は店長に相談し、他の支店に変えていただくことになりました。 怒られる恐怖のあまり、自分を変えようという気力が失せてしまいました。

この人は、ずっと自分を変えようとして努力してきたのですが、 うまくいかなかった。 うまくいかないのは自分のせいだと思っているようですが、 そもそも変えようとする方向性が間違っていたのです。 この方は日本に帰ってきて、今度は事務職として働きます。

働いて3ヶ月後、先輩社員は私に言いました。 「早く仕事を覚えて」「分からないことがあったら、ちゃんと聞いて」 と。何が分からないことなのかが私には理解できませんでした。 つまり、分からないことが分からないのです。

仕事にはバリエーションが多いから分からないのです。 何をして良いのかをその場で選ばなければならないのですが、 この人はその選択が苦手なために分からないのです。

ある日私が内線電話を取りました。

某社員「○○主任はいますか?」

私「○○ですね。少々お待ちください」

私はすぐ自分のミスに気づきました。 内線だから名前の後に「さん」や役職をつけないといけないのです。 すぐ様、先輩社員からメールが決ました。「内線だから呼びすてにしないのは 常識でしょ、何回言っても同じミスを繰り返すから言いたくないので メールしました」 と書いてありました。言われるより書かれる方が心にぐさっときました。

(中略)

物心ついてから人から心ないこと言われるのが当たり前のようになり、 私が人から言われた心ない言葉は人に言ってもいいものだと思いこんで いました。そのため、私自身が人から言われた心ない言葉、行動を 同じように他の人にしてしまい、 相手を不快にさせたことが何度かあることを思い出しました。

というようなことで、この人たちは、 物事のニュアンスを抽出して覚えるということが苦手ですね。 また、一つのことを演繹的に考えて他の場面で利用するということも 難しいですね。 一対一の対応であればできてもそれを他に応用しにくい、 といったような特徴があります。

学校を出て社会人になっても 「自分は人とうまくやっていけない」「私はいったいどうなっているの?」 「私って何?」という疑問は続きました。 人は生きていくうちに自然に身につけていく人とコミュニケーションを とる方法、周囲とうまくやる、 場の空気を読むことなどが私にはできないのです。 また、休み時間に、他の女性社員の人たちと話しても話について いけないのです。話しかけられても、聞かれたことに対して とんちんかんな答えを出すので会話にならないことがありました。 なので「天然ボケ」とよく言われました。 ブランド物の話、ファッション、周囲の噂話などに興味がもてないのです。 ブランド物はあまりほしくない、服は着まわしがきいて長く着られる服でいい、 噂話は興味ない、誰が何しているか、恋人はいるかなど関心ない。 お酒、タバコはやらない、賭け事はしない。運動は近所のスポーツジムで 充分、これと言ってほしいものはない。化粧はナチュラルメークで充分。 それでも無理に私は皆の話に関心があるふりをしていました。 しかし、それは苦痛でした。私は周囲から浮いていることに気づき、 私は女性社員の輪から離れていきました。 女の人が会社で一人で食事をとるのは目立ちます。 目立ちたくないので会社のトイレの個室で食べていました。

この人は、「自分は少し変わった人だな」ということを、 この時期にはだいぶ分かってきています。 障害を持ちながらも知的な問題があれば、 三歳児検診や就学時には分かりますし、 それに対応した対応は就学時からあります。 たとえば、(それが良い悪いは別にしても) 特殊学校であったり養護学校であったりといったような 対応がわりとできているわけです。 しかし、 高機能自閉症やアスペルガー症候群に対しては 診断もまだ不確定な部分が多いです。また、 本人自身、あるいはご家族の方においても、 こういった障害があるということを分からないのです。 だから、自分自身でも悩んでしまうし、周りの人たちも どのように接してよいか分からない。

今まで、高専において自閉症とかの診断がついた方は そんなに多くはなかったと思いますが、 これからは増えると思います。なぜなら、皆さんが この障害のことを知ったからです。 全国的な調査でも、過去に症例がなくても、 調査するたびに症例がどんどん増えていきます。 今までは「変わった子」で済んでいたのが、 この発達障害の内容を知った上で見ることにより、 この子は「ADHDだったのか」「アスペルガー症候群だったのか」 と分かったりするからです。 診断の数が増えてきたのは、実数が増えてきたのではなく、 「見る目ができてきた」ということなのだと思います。


【閑話休題】
えーと、原稿を持ってきたのですが、 原稿が無いところで話しているうちに、 何を話しているのかちょっと分からなくなってきてしまいました。
(講師は、鞄の中から原稿を取り出す。)

実は、今日の講演の準備で 3日ほど前からすごく緊張して、胃が痛くなってきたりしています(笑)。 でも、胃が痛いのは心身症の症状であり、 発達障害とは関係ありません(笑)。


2.自閉症とアスペルガー症候群

統合失調症とか精神分裂病という名前をお聞きになったことのある方も おられると思いますが、こういった診断名が初めて記載されたのは 1908年なのです。まだ1世紀経っていないのです。 昔から、そういう病気はありました。100:0.8とか言われていますが、 おそらく人類の歴史の中で、ある割合でずっとあったと思います。 ただ診断概念がなかっただけだと思います。 それと同じように、自閉症という概念が初めて出てきたのは、 1943年ないし1944年ではないかとされています。 1943年に「そういった子供があるよ」ということを、 カナーという人が論文に書いています。そして、 1944年に早期幼児自閉症と名前をもって提唱したのが始まりと 言われています。 1944年といえば62年前です。 その後、1944年、アスペルガーという人が、 同じような症例を別に発表して、自閉性の精神障害ということで、 これがアスペルガー症候群 です。これに対して、前のものを カナー症候群 として分けて考えることもありました。 どこが違うのかというのは現在でも分けにくく、 高機能自閉症とアスペルガー症候群を厳密に分けるのは 大変難しいです。あえて単純に言うと、 言葉の障害がないものがアスペルガー症候群で、 言葉の障害を持っているものが自閉症圏内ということで、 この場ではご理解いただければよいと思います。

このように、自閉症やアスペルガー症候群というのは、 非常に新しい概念なのです。 したがって、このような人たちがどんなふうに 育っていくのか、あるいは、どのようなお仕事なり 支援がふさわしいのかというのは、それから後の研究なので、 非常に歴史は浅いです。 診断についても、どのように診断するかについては、 非常に曖昧な部分があります。


3.精神科の診断基準

精神科の診断 というのは、何だかよく分からない胡散臭いと 思われている方が多いのではないでしょうか。 それは、新聞等で精神鑑定を受けても鑑定者により全然別の 診断がついたりすることによると思います。 最近では麻原という人の診断に幾つか異なる診断があったことが 報道されています。 そういうこともあって、 精神科の診断は胡散臭いと思われるかもしれません。 どうして胡散臭いかというと、昔は直感診断だったからなのです。 昔の精神分裂病(統合失調症)の診断では、 プレコックス感というのがあって、話していて何となく 医師の側が違和感を感じるというのも診断基準の一つだったのです。 それはそれで重要な直感なのですが、そういったものを 診断基準にしているようでは客観性がないので、 そのために診断基準が設けられるようになってきました。 DSMというアメリカの診断基準ですが、 具体的な内容を資料に用意してきました。


知的障害の診断基準

発達障害の中で一番分かりやすいものが「精神遅滞」だと思います。 これは、昔は精神薄弱と言っていた時期があります。 精薄施設という言い方もありました。 精神薄弱というのは、ドイツ語のSchwachsinnという言葉を 日本語訳したもので、 そのあとの概念としては精神発達遅滞(Mental Retardation)としています。 DSMでも、そのような概念として診断基準が書かれています。 今は、おそらく知的障害というのが一般的かと思います。

こういう言葉の扱いは難しいですよね。 統合失調症もそうです。 前は精神分裂病と言っていましたが、 いろいろな言葉の意味や手垢がついてくると、 付属して差別的な意味がついてくるので、 どこかで言葉を新しくしたのだと思います。 痴呆もそうですね。認知症ということになりました。 そういった意味で、精神遅滞という言葉は、最近は知的障害という 言葉に言い換えられるようになってきています。

精神遅滞、知的な発達について全般的な遅れを示すものですので、 原因も雑多ですが、胎生期としてお腹にいるときに何かが起こったり、 あるいは出産時に脳に外傷を負ったり、いろんな原因で知的な機能が 全般的に遅れると知的障害という診断がつくことがあります。

明らかに平均以下の知的機能であるということですが、 これはIQ(知能指数) で書かれていて 70以下を精神遅滞と呼んでいます。 また、70〜50を軽度、50〜35を中等度、35〜20を重度、そして 20以下を最重度というように輪切りで切っています。 ただ、それだけではなく、社会的な遅れなどの検査もありまして、 そちらと合わせて診ることもあります。 そのときに、自閉性障害を合併したりしていると、 知的な能力は70であっても社会的にはそこまでいっていないので、 就学時には特殊学級を勧められたりすることもあるわけです。 そこでは学習指導委員会のようなものも関わってきます。

精神遅滞はIQという点数でみれるので、 ご本人さんが納得するかどうかは難しいですが、 親御さんは比較的納得しやすい部分があります。 皆さんも理解しやすいと思います。

知的障害のお子さんは、皆さんも何となく見て分かりますよね。 お腹の中で、お顔ができる段階で何がしらの障害があると、 顔の発達が遅れるので、知的障害のお顔になって生まれます。 しかし、自閉症のお子さんの場合には、 その段階までの障害ではないので、 生まれたときから3〜4歳くらいまでは非常に高貴(ノーブル)な感じです。 表情はあまり無いのですが、 非常に整ったお顔でいらっしゃることが多いとされています。 その障害は、胎生期の8〜9ヶ月以降の障害なのか、 出産時の障害なのか、 あるいは本来の脳が持っていたものなのかは分からないですが、 経験の持った者が見れば、 自閉症かどうかは少しは分かるといった面があります。

精神遅滞は大体お分かりいただけたと思います。 就学指導 の段階では、IQが70以下の方は特殊学級、 55以下は情緒障害学級、そして35以下では養護学級 といったように単純な輪切りでお勧めしているようです。 そういう意味もあって、 軽度・中等度・重度という分類は利用されています。

そのあと学習障害というのもありますが、 これは教育現場では問題になりやすい言葉ですが 医学的には難しい概念でもありますので、 今回は省略させていただきます。


自閉性障害の診断基準

次に、自閉性障害についてお話します。 これは、広汎性発達障害の中の一つとして分類されています。 その診断は 操作的診断基準 といって、 あてはまるものに○印をつけていけば 誰でも診断できますよ、というものです。 そして、この基準で診断したものは国際的な規格としても使えるので、 このような形で診断することが推奨されています。 これがDSMというものです。 WHOで出しているICDという診断基準では、 精神科以外の疾患についても、このような操作的な診断基準があります。

それで、DSM-IVによる自閉性障害ですが、 (1)から(3)までで合計で6つ以上ということが書いてあります。 下に(1)の内容を上げてあります。 ちょっと分かりにく表現ですが、 要するに、小さい子供のときに抱きにくいのです。 身体を接触されることを非常に嫌がります。 赤ちゃんを抱こうとすると、 普通は愛着行動とか予測行動などにより、 お乳を飲ませようとすると母親にすがってくるのが一般的なのですが、 この障害のあるお子さんの場合には反対に身体をそらしたりして、 なかなか哺乳行動にいかないのです。 むしろ、それを避ける行動を取りやすいのです。 また、視線が合いにくいです。 このようなことが、この部分では書かれています。

発達の水準に相応した仲間関係を作ることが失敗、 これについては、自閉症の方の手記にもありましたが、 集団遊びがなかなかできなくて、 一人で遊んでいることが非常に多いです。

また、常同的なというか、同じような遊びをすることができない。 自己刺激的な遊びをすることが多いです。 たとえば、先ほどの手記にあった一人で砂をまいて遊んでいるとか、 水遊びのようなことを好きな方が多いで す。 楽しみ・興味・成しとげたものを他人と共有することを 自発的に求めることの欠如、 「それはきれいでしょ!」といったようなことを言わないです。 共有しません。周りが共有したことについても、 なかなか興味を示すことができません。 これが対人的な障害とされています。

自閉性障害
A (1)(2)(3)から合計6つ(またはそれ以上)、 うち少くとも(1)から2つ、(2)と(3)から1つずつの項目を含む。
(1) 対人的相互作用における質的な障害で以下の少くとも2つに よって明かになる:
(a) 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、 身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語性行動の 使用の著名な障害。
(b) 発達の水準に相応した仲間関係をつくることの失敗。
(c) 楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有すること (例:興味のあるものを見せる、もって来る、指さす)を 自発的に求めることの欠如。
(d) 対人的または情緒的相互性の欠如。

次に(2)の内容ですが、 (2)は意志伝達の障害です。 コミュニケーションの障害ということです。 まだはっきりしていないのですが、 言葉を人間がどのように獲得するかというと、 次のように考えられています。

たとえば、リンゴの簡単な図を書いたとき、 大体はすぐにリンゴを書いているということが分かりますよね。 それは、リンゴの「絵」とリンゴという「言葉」を一つにして、 それを「リンゴ」として認知して、 そこで初めて「リンゴ」という言葉が口から出てくるのです。

(2) 以下のうち少くとも1つによって示される意志伝達の 質的な障害:
(a) 話し言葉の発達の遅れまたは完全な欠如(身振りや物まねのような 代わりの意志伝達の仕方により補おうという努力を伴わない)
(b) 十分会話のある者では、他人と会話をし継続する能力の 著名な障害。
(c) 常同的で反復的な言語の使用または独特な言語。
(d) 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや 社会性を持った物まね遊びの欠如。

しかし、自閉症の子供さんの場合は、 脳に認知 させる部分に分厚い壁があるような感じで、 このことがなかなか認知されにくいのです。 そこで、赤いリンゴは「リンゴ」だけど、黄色いリンゴは 「リンゴ」ではないとかいうようなことになるのです。 赤いリンゴも黄色いリンゴも、ちょっと形の崩れたリンゴも 「リンゴ」で、「リンゴ」という言葉の意味はこういうことなんだ、 ということを理解させるのに非常に時間がかかります。 他の人が1回で理解するところを、 3回とか5回とか10回かかったりしますので、 言葉が出てくるのが大変遅いのです。

正常な発達の場合は、 2〜3ヶ月で「あやすと笑う」とか、 3〜4ヶ月で音に対して反応するとか、 10ヶ月くらいで「まんま」とかいう言葉が出てくるのですが、 自閉症の子は10ヶ月たっても「まんま」と言わないのです。 「まんま」というのは、食べるものや母親を概念化して 「まんま」という言葉で言っているのですが、 そのような概念化がうまくいかないので 「まんま」という言葉出てくることが少ないのです。

後で時間があれば紹介しようと思って持ってきた症例が あるのですが、その症例では最初に出てきた言葉は3歳のときの 「ワイケーケー(YKK)」という言葉です。 これは、コマーシャル言語 というのですが、 機械的に生のまま入ってきますので認知されやすい、 したがって言葉にも出やすいのです。 自閉症のお子さんの場合は、「リンゴ」とか「まんま」というように、 認知するには概念化が必要な言葉が出てくることはほとんど無いですね。 言葉の意味についても、一対一で出てくることが多いので、 冗談が非常に通じにくです。 それが冗談だと分かれば、その言葉は言えます。 しかし、その他の言葉も冗談なんだ、ということは なかなか通じないですね。

このように、 自閉症のお子さんの場合は話し言葉の発達が遅れるのです。 完全な欠如ということも中にはあります。 「ワイケーケー」という言葉はあっても、 それだけでは相手に何を言っているのか伝わりません。 これが、(b)で述べていることです。

(c)は、言葉の使い方がうまく使えなかったり、 発声の抑揚がうまくとれなかったりということを言っています。 抑揚のつかないモノトーンな話し方をすることが多く、 ロボットのような話し方をするものです。

また、小さいお子さんは、 物を概念的に捉えて、ごっこ遊びや振り遊びをするのですが、 自閉症のお子さんの場合は振り遊びをすることができません。 「お母さんごっこ」のようなことができないのです。 これが(d)の内容です。

次に、(3)についてですが、 以下のように行動に関する基準が上げられています。

(3) 行動、興味および活動の限定され、反復的で常同的な様式で、 以下の少くとも1つによって明かになる:
(a) 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の、 1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。
(b) 特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが 明かである。
(c) 常同的で反復的な衒気的運動(たとえば、手や指をぱたぱたさせたり ねじ曲げる、または複雑な全身の動き)。
(d) 物体の一部に持続的に熱中する。

自閉症のお子さんは、(a)にあるように、 同じビデオばかり何度も何度も見ていたりすることがあります。 自分の好きな遊びばかり、何度も何度もずっと繰り返しているように 見えることがあります。 発達水準のあまり高くないお子さんの場合だと、 紐を目の前でヒラヒラさせて1日中遊んでいるようなことがあります。 これが「常同的で反復的な行動」です。

(b)はちょっと難しいのですが、本人の好きな場所というのがあって、 本人が子供時代に安心して過ごすことのできる場所について述べています。 最近、自閉症と診断された方の大人になってからの手記が いろいろ出版されています。 一番有名なのが、新潮文庫にも入っている 「自閉症だった私へ」(ドナ・ウィリアムズ著)という本です。 たとえば、「押し入れの中の布団の中に潜っている時が 自分は一番安心です」というようなときは、 パニックになると、そのような場所に行ったりするわけです。 学校の中では、「本人が一人になれる安心できる場所を作って 上げましょう」というようなことが、よく言われます。 養護学校などでは、そんなふうにして、本人がパニックになるのを 防ぐようにしています。

(c)は、手や腕をパタパタさせたりねじまげたり、 目をチカチカさせたり、自分の目の前の刺激を楽しんだり しているように見えることがあります。 例えば、目の前で自分の指をチラチラさせるような場合があります。 これは、目の前の刺激を自分で作っているのです。

(d)は、先ほどの当事者の手記の中でも、 持っている物より「服の柄などに興味がありました」と書いていましたが、 そういう意味です。部分に関心があるのです。

B. 3歳以前に始まる、以下の領域の少なくとも1つにおける 機能の遅れまたは異常:(1) 対人的相互作用、 (2) 対人的意志伝達に用いられる言語、または(3) 象徴的または 想像的遊び。
C. この障害はレット障害または小児性崩壊性障害ではうまく 説明されない。

Bは、症状が3歳以前に始まって、対人的な相互作用、 対人的な意志伝達、象徴的な遊びまたは想像遊びの機能の 少なくともどれかに問題がありますよ、ということです。Cは、 レット障害や小児性崩壊性障害ではありませんよ、ということです。 このような診断は除外診断というのですが、 たとえば脳挫傷はありません、 というようなことを言っているわけです。


アスペルガー症候群の診断基準

次にアスペルガー障害についてですが、 これは自閉性障害から言葉の遅れを取り除いたようなものと 捉えていただくと、お分かりになりやすいかと思います。 アスペルガー障害の診断基準では、次頁に上げました。 先ほどの自閉性障害の言葉の遅れの部分を除いた項目が 上げられています。

言葉の遅れがありますと、今の日本では1歳半検診とか3歳児検診で 大体見つかります。 また、言葉の教室も就学時以降にあるので、 わりとどこかで発見されやすいのですが、 アスペルガー症候群の場合は、そのような検診で発見されることは 非常に少なくて、 事例化するのが遅れやすい傾向があります。 事例化しなければしなくても構わないのですが、 最初の手記の方のように、非常に本人が生きにくさを感じたり、 本来の能力を発揮できないまま自分の人生を選択して、 あまり望ましくない人生を歩むことになりかねないのです。 本人も自信を持てないままで終わってしまいます。 本人に自信を持って生きてもらうためには、 どこかで救い上げて本人に向いているものを指導することによって、 本人が能力を伸ばしながら自信をもって生きていけるのではないか、 ということを目指しての診断なのです。


注意欠陥多動性障害の診断基準

もう一つは、注意欠陥多動性障害というのがあります。 これは、Attention-Deficit/Hyperactivity Disorders ということでADHDと略されます。 自閉性障害は、Autistic Disorder なのでADです。 昔は、幼児自閉症でInfantile Autism ということでIAというが多かったです。 それ以前は、Early Infantile Autism ということで EIAと書かれることもありました。

注意欠陥多動障害とはどのようなものかというと、 その診断基準は次頁に上げましたが、 要するに、注意力が緩慢であるということですね。 脳に障害があるときもこのような症状に なることがあります。 あるいは、嫌なことがあってストレスがかかった時も、 反応的にこのように注意緩慢になることがあります。 しかし、ADHDのお子さんについては、 親御さんなり養育されている方から通信簿などを持ってきてもらうと、 「気が散りやすい」とか「落ち着きのない子供だ」というようなことが 書かれていることが多いのです。 皆さんの中に、思い当たる節のある人はありませんか。 私はちょっと思い当たるところがありますが・・・

ですから、ADHDのお子さんは、大人数のクラスで勉強しておりますと、 先生がお話しをしていても、隣の子が消しゴムを落としたといっては そっちが気になり、外でピッピッと体育の笛の音がするとそっちが気になり、 先生の話に集中できないのです。 そこで、小人数の中で1対1で教えることで、 勉強に関しては集中させることができる場合が多いです。 家庭の中で勉強する時に、テレビを見ながら勉強するというようなことは、 この人たちには向きません。 音や光の刺激も、あまり変化の無い方がいいです。 家では人の出入りもありますが、その出入りもなるべく一方向からに するようにしましょう、とご家族には言っています。 本人の注意がとぎれやすいからです。


注意欠陥/多動障害
A (1)か(2)のどちらか:
(1) 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が 少くとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、 発達の水準に相応しないもの
不注意
(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意 することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
(c) 直接話しかけられた時しばしば聞いていないように見える。
(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務を やりとげることができない (反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)
(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に 従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいやを行う。
(g) (例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や 活動に必要なものをしばしばなくす。
(h) しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
(i) しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

ADHDの方の指導については、できる時間を集中させるということが 必要です。そのような時間を取れた場合には、 前の時間の復習が1/3で、次に課題をやらせる。 そして、最後にできたことをもう一度やって 「できたね!」というところで終わりにすると、 次につなげることができます。 しかし、教える側に欲が出て、「できたね!、じゃあ、あと5分やってみよう!」 ということでやっていくと、そのうち嫌になってできなくなって、 「できなかった。」で終わってしまうと次につながらないのです。 親御さんの「やらせたい」という気持ちは分かるのですが、 本人の集中できる限界よりも少し短いところで家庭学習させることを 助言指導しています。

それから、不注意の問題もありますが、以下に上げた 多動性--衝動性の問題も、最近多いとされています。 これがADHDなのか、それとも家庭の躾の問題なのかは 非常に意見が別れるところです。 学級崩壊というような ことが言われてから、だいぶ経ちますが、 しばしば不適切な状況で走り回ったり、 高いところに登ったりする。 成人では、落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれません。 成人で高いところに登ったりすることは、あまりありませんから。

(2) 以下の多動性-活動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が 少くとも6ヶ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、 発達水準に相応しない
多動性
(a) しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を 離れる。
(c) しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ 上ったりする(青年または成人では落着かない感じの自覚のみに 限られる)
(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
(e) しばしば「じっとしていない」またはまるで「エンジンで 動かされるように」行動する。
(f) しばしばしゃべりすぎる
衝動性
(g) しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
(h) しばしば順番を待つことが困難である。
(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)

以上の(1)(2)がAの内容です。 この後に、BからEまでの基準があります。 Bは、 これが7歳未満で存在するということ。 Cは、それが学校場面ばかりではなく、 他の場面でも出てきますよということ。 Dは、社会的、学業的または職業機能において、 臨床的に著しい障害が存在しますよということ。 そして、Eは、それが他の病気ではないのですよということです。 以上のAからEまでの全てにあてはまるとき、ADHDという診断がつきます。


障害を持つ方の数

知的障害の方がどれくらいの数だけおいでになるかというと、 中度・重度の方は、出産100に対して1くらいあると言われています。 比較的多いですよね。 ただ、重度でお生まれになる方については、育ち方がうまくいかない 場合もあるので、就学時にはその数は半分から1/3に減っているので、 中度・重度以下の方は就学時には0.3〜0.4%程度くらい学校に入ります。 重度の方がこちらの学校に入られることはないと思いますので、 知的障害に関してはあまりお話ししてもしょうがないのかもしれません。

自閉性障害がどれくらいあるかというと、1万対幾つかという説が 昔ありましたが、最近は千人に一人強と言われていますが、 多い報告では1000:6くらいあるとも言われています。 数が非常に増えてきているんです。 男女比は、3〜4:1という説から9:1という説まであります。 男の子が圧倒的に多いです。 男の子は脆弱性を持って産まれることが多いので、 その脆弱性の中の一つなのかもしれません。 自閉症の女の子の場合は、重度の場合が多いとされています。 あるいは、女の子の場合は、軽い場合は目立たないだけなのかも しれません。そのあたりは、まだよく分かっていません。

診断されるようになったのは1940年代に初めて概念が出てきたと お話しましたが、このアメリカのDSM-IIIで初めて診断基準が明らかに なったのは1980年です。それまでは、何となく診断はついていても、 このような操作的な診断基準はなかったのです。 数は非常に少なかったです。 学校がらみで問題になることはあっても、 変わった知恵遅れと考えられていたり、 家庭の躾がうまくないんじゃないかとか、 何か別な問題があるんじゃないか、あるいはもっと別の・・・ というような見方をされていたかもしれません。 現在はDSM-IVまできていますが、 WHOの中にはICD-10という診断基準があって、 やはり似たような基準になっています。


4.自閉症の方の成育過程
幼児期の症状

自閉症について、何となくイメージがついたと思われますが、 どんな風な発達を辿ってきているのかについて、 ちょっとお話します。 小さい時からの主な症状を言います。 産まれて1ヶ月までは視線が合わない。 哺乳に対して予期的な姿勢を取らない。 2〜3ヶ月では人の顔や声に無関心で、あやしても笑わない。 遊んだり抱いたりすることに対して動かない。 3〜4ヶ月では、社会的な微笑が見られない。

普通は、お母さんを見たりするとニコッと笑ったりするのですが、 自閉症のお子さんは笑わないのです。 そこでどういうことが起こるかというと、 親の方からは愛着がなかなか沸きにくいということが起こりかねない。 また、子供の方も、どうしたら自分の気持ちを伝えられるかということが 伝わりにくい。 それは、2次的な障害とも考えられます。 対人関係の障害は2次的な障害ではないかということを、 1960年代にラターという人が自閉症の障害の何割かは認知障害ではないか と言い始めて、今も大変議論になっているところです。

4〜6ヶ月では、人に対する無関心、過度のロッキングや無表情・しかめ顔を します。 6ヶ月から1歳では人見知りがあります。 光や音に対して過度の関心があります。 身辺の自律ができません。 「喃語」「マママ」みたいな言葉の代りに、機械的な発声が多い。 極度の偏食があります。 これは本当に極度の偏食で、同じものしか食べられないことがあります。 マヨネーズばかり食べているという子も、中にはあります。 長いものしか食べられないとか、その人その人でいろいろ違いがあるのですが、 同じ物しか食べられないということで、非常に栄養が偏りがちになります。 1歳〜2歳くらいで、テレビコマーシャルの模倣などがあります。

アイコンタクトは欠如しています。 同一性の保持に強い要求を示します。 変化に対して、非常に弱いです。睡眠と食事のパターンが異常になります。 社会的なしつけが非常に困難であります。 というような臨床的な記述がされています。 幼児期にも社会的には、 社会的な集団に参加するような 問題やコミュニケーション上の問題があったりして、 なかなか受け入れられないし、 また躾がうまくいかないので、 しばしば無作法であったりします。


思春期・青年期の症状

問題は青年期なのですが、 自閉症やADHDのお子さんであったとしても、 勉強ができれば上の学校に入学してくるわけです。 そのようなお子さんの特徴というのは、 青年期になってパニック を起こすことがしばしば見られる、 とされています。 今まで、いろいろな情報が頭に入りにくい自分でありながら、 過去の経験をもとに他の方とのコミュニケートをようやく 取ってきたのだけど、思春期の課題をそれだけで乗り越えることは 非常に困難になることがあります。 思春期は、 自分自身がどんな自分なのかということ、 自分は他の人と違っているのではないかと感じたり、 これから自分はどんなふうに生きていくかを獲得する時期なのです。 高専は15歳から20歳ですよね。 前思春期なり青年期なりの時期に、自分の将来を考えたりする。 そのときに、 どうしても自分に振り返って、 社会の中でうまくやっていけないのではないか、 ということを感じやすい。 そのために青年期パニックが起こります。

青年期パニックの一つの原因は、 ホルモンバランス が変わる時期でもあって、 自分の身体が大きく変わるので、 それを受け入られないという問題もあるのですが、 特に性的な問題については、男性の場合も女性の場合もあるかもしれませんが、 適切な処理の仕方を教えていかないと、 しばしば不適切な行動を生じることもみられます。 ただ、それは対人的にみられるということではありません。 対人的に不適切な行動は、めったなことではみられません。 たとえば、男性の場合、マスタベーションという問題について 言いますが、この場合、場所や時間について社会的には制約を 受けやすいわけです。というより、それは人前でするものでは ないわけですが、そういう部分がなかなか獲得されない場合があります。 仕方が間違っていたりすることもあり、しばしば傷をつけます。 そういう部分は、なかなか指導をしにくい部分でもあるわけです。 実際、何かしらの痛みを生じて、病院に連れていくことも あるかもしれません。 ホルモンバランスが一つの原因になっているということです。

あと、感情表現が未分化 なので、自分の感じている感覚を 自閉症以外の人の言葉で説明することがしばしば困難なのです。 何かもどかしい感覚なのだと思うのです。 先ほど、ここでお話しするので3日程前から胃が痛いと言いましたが、 それは心身症の症状なのです。 食べた物は食道を通って胃や十二指腸を通るわけですが、 胃の中に3人前も食べるとお腹が一杯になって気持悪くなります。


ストレスの解消法

一方、見えませんが、心の中にはストレス袋というのがあって、 ストレスを3人分も溜め込むと気持悪くなります。 胃であれば食べ過ぎたことが分かるのですが、 ストレスは溜め過ぎたかどうかは分からない。 ストレスを溜め過ぎたときは、それがあふれてきて心の症状に なって出てきたのが神経症とかストレス性障害といい、 身体の症状として現れるのが身体表現性障害や心身症といいます。

これをどうやって治すかというと、 食べ過ぎであれば、(1)後は食べないようにする、 (2)気持悪いから出してしまう、 (3)消化剤を飲んで消化してしまう、あるいは 胃を動かす薬を飲んで腸の方へ出してしまう、 という方法があります。 最後のものは薬物療法ですね。

ではストレスを溜め込んで症状が出ている場合は どうするかというと、 一つには、(原因が明確であれば) これ以上ストレスを溜め込まないようにするということです。 たとえば学校でのいじめが原因であれば、 学校を休ませることが適切かもしれません。 嫁姑問題であれば、 実家に帰ってもらう方がいいかもしれません。

2番目は、溜まっているものを言語化するということです。 カタルシス効果ということもありますが、 自分で問題を整理するためのきっかけになるかもしれません。 このような場合は相当に溜め込んでいますので、 人任せにできることまで自分で背負いこんでいたり、 後回しにできることまで背負いこんでいたりする場合があるので、 それを言語化することで整理するという意味があります。

もう一つは、薬物療法的な対処です。 ストレスに対して症状が出ないように する薬物もあります。また、 ストレスがかかったために興奮して心が疲れて何かしらの症状が出て、 たとえば「眠れない」という症状が出たとすると、 今度はそれが悩みになってという悪循環になっていることが多いので、 その悪循環を断ち切るために 不眠という症状に対してお薬を出して 治療するということもあるわけです。


思春期のストレス

思春期では、このような問題が出てくることが非常に多いのです。 たとえば、進路選択の問題であったり異性問題であったりするわけです。 発達障害を持っているお子さんの場合は、すでに ストレスが満杯のぎりぎりの状態でやっていることが多いので、 思春期になって新たなストレスが入ってくると、 何かしらのパニック的な行動を起こすようなことが見られます。 それは、治し方としては、構造的な問題があるときは、 その構造を直さないと根本的には解決しません。 構造としてもいろいろあるのですが、 人のことまで心配しますとか、 やらなくてよいことまでおせっかいしますという人は、 ストレス袋の入口が広いし、人に頼らないとなると出口が狭いので 一杯たまりますよね。 こういう構造の場合でも、自覚的に治せる部分がありますよね。 「人のことは気にするな」とか「人に任せなさい」という形で ストレスを出していけば治る場合もあるのですが、 発達障害の場合は、構造そのものが堅いのです。 そして、 構造を直す以前の問題として上手に言語化できないのです。

小さい子供の場合は、朝起きると頭が痛いとかお腹が痛いとか 言って学校に行けなくなることがあります。 これは、先程の例では身体化症状という問題です。 それをどのように表現させるかというと、 言語化することで身体化しないですむこともあるのですが、 発達障害の方の場合はそもそも言語化がうまくいかない。 だから、よけいにこのような身体化した症状が 出てくることがあります。

発達障害の方の一番多い精神科合併症状は「うつ」です。 最初の手記の人も「うつ病」になって会社を退職しています。 うつ病と抑うつ反応は少し違うかもしれませんが、 ストレスでうつになることだけを考えると、うつは誰でもなります。 誰でもなるだけに、自分の理解の仕方でしか理解していないことが多いです。

たとえば、誰でも風邪を引きますよね。 うつ病は心の風邪に例えられることがありますが、 37度くらいの風邪であれば一晩寝れば治ったりすることもあるわけです。 ちょっと嫌なことがあって気分が沈んでしまったというような、 一晩寝れば治る37度くらいのうつもあれば、 38度くらいの熱が出てなかなか治らないというような うつもあるわけです。 あるいは、生きているのが嫌になってきて死ぬ準備をしました。 これは、熱でいうと40度くらいの熱がでて肺炎を起こし、 入院しなければ治らないというようなうつですね。

しかし、誰でもうつになるということで、 寝ていれば治るよとか、 鼻にネギを差していれば治るよというような指導のされ方をすると うまくないのです。 うつは風邪と違って体温計で測ることができないし、 脳波やCTを取っても分かるようなものではないのです。 血液検査での診断もできないです。 うつの人は言語化ができないので、 何がストレスなのかが分かってあげられないことがあり、 そこを上手に癒してあげないと治りにくいのです。


青年期パニック

それで、青年期パニックというのがあります。 青年期パニックの場合、発達障害、 特に広汎性発達障害の方の特徴にタイムスリップという現象があります。 例えば、嫌なことがあり、そのときに嫌な気持になったとします。 そのときに雨の音が聞こえていたとすると、 そこから10年くらい経ってからでも、 同じような雨の音を聞くと、嫌なことがあった時のことが思い出されて 嫌な気持が湧き起こってくるのです。 例えば、「お父さんにひどく叱られて殴られました」というようなことが 想起されてパニックになる。 これを、タイムスリップ現象といいます。

自閉症圏内の方は、 いろいろな概念の認知 がなかなかされにくいということを お話ししましたが、認知されにくいということは、 一度覚えたことを 忘れにくいということにもなるわけです。 したがって、昔あったことを非常によく覚えています。 言葉の数は少ないかもしれませんが、 本人は覚えた言葉の中で注意しようとしてやっているのです。 獲得した技能は少ないかもしれませんが、 その獲得した技能の中で生活しようとしてやってきている。 本人としては、すでに一杯一杯でやってきているのです。 それで、何とか高専に入りました。 ところが勉強が大変であるとか、周りの人はクラブ活動まで やっているのに、自分はうまくいかないということで パニックを起すことが考えられます。 そうすると、そのとき、例えば中学校時代にいじめられたことが 思い出されたりするかもしれません。 全部、想像で言っていますので、実際にはどうなのか分かりませんが、 以上のようなことは十分考えられることなのです。

まとめますと、一つ目はホルモンバランスの問題と、もう一つは感情の未分化の 問題、感情の表現の仕方がうまくいかないということ、 それからもう一つは思春期の課題で自我の芽生えの時期です、 ということで、そのために青年期パニックが起きますよ、 つまり自我防衛機制が混乱しますよ、ということです。

今まで、これで良いと思ってきた自分が、 このままではできないというふうに挫折を感じたりすることが あります。誰でも、自分はちょっと変わっているのではないか、 自分は特別なのではないか、と思ったりすることがありますが、 自閉症圏内のお子さんの場合は、 生れてきてからずっと感じてきていることに直面する、 つまり自分の障害に直面するという時期になるので、 パニックが起きやすいということです。 青年期危機ですね。


心の理論

心の理論 というものがあります。 どの人にもその人の感覚や意見があって、 自分の考えていることだけではないのだよ、 という気持ちについて把握するのが、 心の理論という言葉で呼ばれる能力です。 それは一般的には、3〜4歳で獲得される課題とされていますが、 自閉症の方の場合、高機能自閉症やアスペルガー症候群の場合、 IQレベル10歳くらいで能力の獲得率は50%くらいと言われています。 IQは知能の一部しか測れません。 IQで測ってみると、知的にはそこまで伸びているのだけれど、 心の問題として人の気持ちを分かったりすることが非常に弱い。

たとえば学校の成績でいいますと、単純な数学の問題を解く能力は 高くても、国語で主人公の気持ちを考えるというような問題は 全然分からなかったりするのです。 全然分からなくても、これまでの問題から類推して テクニックとして解くことはできるのです。 しかし、本当に自分が共感するという部分は、非常に低いことが多いです。 学校の成績でいうと、必ずしも悪くはないかもしれませんが、 本人が分かる分からないという感覚では、 国語のそのような問題については 「全然分からない」とか「よく分からない」と言われることが多いのです。

ここまで、自閉症なり多動性障害についてお話してきましたが、 何となくお分かりになれたでしょうか。 自閉症のことについては、「こんな子なのかな」ということが イメージできたでしょうか。 場合によっては、これまで教えてこられたり、 指導してこられたお子さんの中に、 「もしかしたら」と思われる方がおられるかもしれません。


5.ADHDや自閉症の長期予後

注意欠陥多動性障害の方については、非常に不器用な方が多くて、 子供の頃に手先が不器用な方が多いです。そのような方は、 あまり高専には来ないのかもしれません。 高専には器用な方が来るのでしょう?(笑) ロボットを作ったりするには得意な方が来られるのではないのですか。 子供の頃にどういうことがあるかというと、 縄跳びが非常に苦手だったりします。 協調運動といいますが、2つ以上のことを一度に行うのが非常に苦手です。 自閉症の方にもそういう傾向があります。 あるいは、はさみが上手に使えません。 自転車もうまく乗れません。 そんなふうなことで、何となく不器用と言われることが多いです。

実際、自転車に乗るには、かなりいろいろな技能を必要としますよね。 足は上下に動くのに、身体は前後に動くので、何となく 身体に違和感を感じているのではないかと思います。 さらに、身体を傾けながら曲がるとかの感覚がうまくいかないのです。 いろいろな技能を協調してやる必要があるわけです。 縄跳びなどでも、自分で回しながら、縄がちょうど前にきた時に 飛ばなければならないわけです。それができないのです。 縄を回して前にきた時に飛び越えようして、 自分自身が前に行ってしまったりするのです。

注意欠陥多動性障害については、このような不器用性が子供の頃に 目立つことがあります。 先ほどもちょっと言いましたが、 せっかくIQなどは高くて知能は高いのですが、 上手に指導されないと気が散りやすいので頭に入りにくいのです。 かえって過敏なのかもしれないのです。 いろんなことが一度の頭に入ってくるので、 それをまとめることができない。 したがって、成績が上がらない、ということがあります。


ADHDの方の長期予後 ということが調べられていますが、 30%くらいは青年期には改善しています。 子供の頃にそういう障害があったかもしれませんが、 全く問題のない青年期を過ごしている方が1/3くらいです。 40%くらいは、生活上何かしらの問題を生じています。 そして、残りの1/3の方は、非常に重篤な合併症を生じています。 たとえば、アルコールへの依存であったり、薬物への依存であったり、 あるいは、反社会的行動を取ったりする傾向があります。 行為障害と呼ばれるような行動の問題です。 粗暴な行動であったり、衝動性爆発性のような行動を 取ったりすることがあります。 それは、二次的に出てきているものだと思われるのですが、 自分自身が社会の中で認められないと、 どうしても、そのような方向に誘かれていくものがあるのかもしれません。

自閉性障害に関しての長期予後 も調べられています。 自閉症に対しては1960年代までの方から調査されていまして、 その頃の方は社会的に何がしかの役割を持って 良好な予後を示す方は20%前後とされています。 1980年代以後の方では、長期予後良好は50%前後とされています。 それは、診断が早くついて、早く指導を受けて、 早く療育を受けたからです。

それから、 昭和の前半には、まだ自閉症という概念はありませんでした。 でも、自閉症の子はいたわけです。 小さい頃から変わった子として見られ、 家族も対応の仕方が分からないために 本人は家庭内でパニックばかりおこしてしまう。 そのため、学校に行くこともできず、 7歳くらいから精神病院にずっと入院しているという例もあります。 そういう人たちを現在の目でみると、自閉症である場合もあります。 言葉が無くて、押し遊びのようなことや、 水場でぬぐうようなしぐさをずーっと繰り返しています。 入院当時に自閉症という診断がついていれば、 望ましい指導ができていたかもしれないのですが、 当時の診断は精神薄弱ということでした。 しかもパニックがあるということで、 長期入院を余儀なくされたわけです。 もし、その方が入院された当時に自閉症の概念があれば、 自閉症の診断がついて、親御さんにもそのことを理解していただいて、 たとえば言葉を表現させるための指導ができたかもしれません。 あるいは、言葉ではなくて、いろいろなコミュニケーションのための 方法があるのですが、そのような指導ができたかもしれないのです。

このように、自閉症の方への指導のあり方ができてきたこともあって、 1960年代までは長期予後良好が20%程度だったものが、 1980年代では50%くらいにまで伸びています。 ただ、それ以降については、まだこれからの課題なのです。 今このような指導をしていますよということは言えるのですが、 まだ研究の途上だということです。 実際のところ、まだ原因がはっきり分かっていないのです。 自閉症に関しては、薬物療法もないのです。 パニックが起こったときに、それを鎮静させるために使うことは ありますが、確かな薬物療法はありません。

ADHDについては、有効とされているお薬があります。 というお薬ですが、お聞きになったことはありますか。 筒井康隆の小説の中に「リタリン遊び」というのがでてきます。 これは覚醒剤に近い作用があります。 少しぼんやりしていることがあるときに、 集中させるためにリタリンを使うことがあるのですが、 量が多いとちょっと危険な薬剤でもあります。 強い抗うつ剤として使われることもあります。 このような薬物療法は、まだ始まったばかりです。

学校で大きな問題になるとすると、 不登校やいじめの問題だと思いますが、 こういった発達障害をお持ちのお子さんの場合には 不登校といじめの両方が対象になる可能性が高いと考えられます。 いじめの対象になりやすいし、いじめからくる不登校であったり、 学校不適応や燃えつきということで不登校になることがあります。


6.発達障害の方に対する支援

その支援ですが、 事例化して初めて診断をつけて指導をするということも支援なのですが、 本質的には、その方が自分自身をどのように受け入れることができるか、 ということです。そのお子さんが、自尊心を保って 自分の今後のあり様を受け入れることができるようになることが、 どのお子さんにとっても目標になると思います。

発達障害を持つお子さんの場合は、 自分に自信が持てないということが多いです。 したがって、その支援のためには、 まず障害があるということを正しく理解してもらうことが必要になります。 自分が障害だということを認めること自体、その方にとって つらい課題ではあるのですが、 そのことが分かった方が本来は失敗しないですみます。

最初に紹介した女性の方は、 対人的な職業について何度も失敗していますよね。 対人的な職業というのは、相手に合わせなければならないし、 このような障害を持った方にとっては、大変不向きな職業なのです。 自分で、そのようなことが苦手だからわざと選んでいるということが あるのかもしれないのですが、 自分が苦手な職業の選択はうまくなかったかもしれません。

このような方に対する支援というのは、 まず本人を理解し、診断をつけることが必要になります。 診断はdiagnosisというのですが、この言葉はギリシャ語では 「全てを理解する」という意味があるのだそうです。 その人の全体を理解するために診断をつけるのですよ、 というようなことが教科書には書いてあります。 単にレッテルを貼るために診断をするのでは全く意味が無いのですが、 診断をつけることによって、その人の全体像を大まかな部分だけでも 理解することができる。それによって、その人に対して、 よりよい支援をすることができるということです。

具体的には、 ADHDのお子さんであれば1対1指導の方が乗りやすいとか、 刺激の少い所でお勉強させた方がよいとか、 一つ一つの課題を分かりやすく伝えることが必要になります。 また、自閉症のお子さんの場合では、本人が安心できる場を 作っておいてあげることが、パニックを防止するためには 非常に有効である場合が多いです。


以上で、私の話を終わります。ありがとうございました。 (拍手)




関連するリンク集
日本発達障害ネットワーク
発達障害のある人やその家族に対する支援を行うとともに、 発達障害に関する社会一般の理解向上を図り、 発達障害のある人の福祉の増進に寄与すること目指したサイトです。
ALAAHFA研究会
2002年4月に日本自閉症協会の高機能自閉症事業の助成を受け、 発達障害の人たちのサポートを考えるために立ち上げられた研究会です。 当事者および専門家、学生、関係諸機関の人たちが参加して活動しています。
アスペ・エルデの会
発達障害の子どもたちに支援の場を提供すると同時に、 専門家の養成や発達支援についての啓発を行うなど、 「生涯発達援助システム」を目指している会のサイトです。 いろいろな情報が提供されています。
日本自閉症協会
自閉症に関して、いろいろな情報が提供されています。 Q&Aや、いろいろな講演の内容の詳しい記録があります。
じゃじゃ丸トンネル迷路
自閉症に関して、学際的な立場から、 いろいろな論文の概要が豊富に紹介されています。
高機能自閉症(アスペルガー症候群)ー理解・啓発ハンドブック
奈良県立教育研究所が発行している、 アスペルガー症候群についての解説書です。
日本自閉症協会東京都支部
アスペルガー症候群について、詳しい説明があります。
新しい自閉症の手引き
各地の保護者や専門家の協力で開設されているページです。 自閉症に関する簡潔なQ&Aや、就学の手引きなどがあります。
アスペルガーの館
先天的な個性のために集団に溶け込むことができないという アスペルガー症候群について説明されています。
えじそんクラブ
AHDHに関する理解の普及や、そのような障害を持つ方々の支援を 目的とする団体のサイトです。基礎知識やICD-10とDSM-IVによる 診断基準などについて紹介されています。
大人のADD/ADHDの会
注意欠陥障害(ADD)や、注意欠陥多動性障害(ADHD)に苦しむ大人に、 いろいろな情報発信や支援をするために設立されたNPO法人のページです。
AD/HD Portal Site
AD/HD に関して、さまざまな情報が登録されていて、極めて内容豊富です。
LD STATION
学習障害に関するいろいろな情報が集積されています。 机にじっと座っていれない、時間にルーズ、忘れものが多い、 集団での人間関係がとれない等の症状があるといわれています。
発達障害教育情報センター
国立特別支援教育総合研究所が提供するページです。 発達障害に関して、さまざまな情報が提供されています。
インターネットによる発達障害チェックリスト
発達障害支援システム学会のページです。 発達障害に関するチェックリストがあります。
発達障害専門リンク集
発達障害に関するリンク集です。
福祉と障害者支援情報の総目次
福祉や障害者支援に関する総合的なリンク集です。
ICD10 国際疫病分類第10版(2003年改訂)
WHOによる、国際疫病分類第10版の内容が登録されています。
精神疾患の分類と診断の手引き
アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準(DSM-IV) の内容を抜粋した冊子です。


村上公敏先生:思春期から青年期にかけてのメンタルヘルス 一関高専学生相談室リンク集
一関工業高等専門学校 学生相談室
一関工業高等専門学校 教育改善委員会