技術情報教育研究部門の紹介
1 はじめに
(財)岩手県南技術研究センター(写真1)は一関工業高等専門学校の隣接地に建
設されており、施設は鉄筋コンクリート2階建、延床面積は764平方メートルであり、
研究部門は、「技術情報教育研究、新素材応用研究、環境機能応用研究」の3部門
がある。
 ここで報告する「技術情報教育研究部門」は、次に掲げる3つの分野で構成して
いる。
  (1) パソコン室・PC98が20台
  (2) 技術情報室・Macが7台
  (3) リモートセンシング画像解析室
    ワークステーションとX端末が7台
 以下、各室の運用目標、機器構成、運用目標、実際の活用例を述べる。


2 パソコン室の構成

 パソコン室は、写真2で示す20人規模の演習室で、Windows3.1を基礎にした入門
研修、UNIXネットワーク技術研修、FA化研修を目標にして設置したものである。具
体的な設備は次のものである。
●パソコン(21台)
 PC9821Xs/C8W,8MB RAMボード,Ether LAN
●主要ソフト
 Office, ACCESS, 一太郎, Visual BASIC
 (以下は数台または1台に搭載した項目)
 Lotus CC, WinReader,Labview3,eXeed/W98
●周辺機器
 LP9000PS2, DESKJET 560C,LANpress,

3 技術情報室の構成

 技術情報室では、グラフィクス、文書、音響データ入出力及び加工、制作、修正
作業が集中的に行える。主要機器は次の通りである。(写真3)

●パソコン
 PowerMac 8100/100AV 32MBRAM,1GBHDD,1台
 Power Mac 6100/66AV,6台
●主要ソフト
 Adobe Photoshop,Excel,Page Maker
 File Maker Pro,Exodus
 Adobe Illustrator,Aldas Persuation
 Strata STUDIO Pro,Director
 Canvas,MOMENTO,ミュージ郎50K
 PC-Transer/EJ,/JE,Mathematica
●主要周辺機器
 NOVAJET3
 Scanner CS7151-03
 Color Printer CH7214
 SONY VTR+V-BOX2

 各パソコンは、EtherTalkで相互接続しており、Macどうしでファイル共有、プロ
グラム共有を行っている。ワークステーションでは、画像を直接印刷せず、いった
んMacを通じて加工処理して印刷するように構成した。画像入力もMacを中心に作業
を行うようにした。
 印刷機器として、A0カラープロッタ、A3昇華型プリンタを準備した。また、VTR
録画システム、CDROMライタを準備した。
 外部へのデータ転送用として、INSネット64を設置しており、現在、MODEMにより、
個人契約ログイン名によるインターネット接続のデモ展示が可能である。

4 リモートセンシング画像解析室の構成

 衛星画像によるリモートセンシング画像解析作業、地理情報データの処理や操作
を中心に行う室(写真4)で、構成は次の通りである。
 ●ワークステーション
  HP800E45+22GBHDD,1台
  HP735CRX-48Z,1台
  SUN SPARC 5, 1台
 ●周辺機器
  光磁気ディスク120GB,1台
  X端末(HP), 3台
  A1 Digitizer
A3 Image Scanner
 ●主要ソフト
  ERDAS Imagine
ARC/INFO,ARCview
  AVS+SPIDER
 ●ISDN通信用
  JC-Classic,ISDN64, 1台

 ファイルサーバーE45は、22GBのハードディスクを有している。2〜4GBの論理ボ
リューム単位にし、すべてNFS exportした。PC98用には約2GBの共有ファイルを設
定した。ハードディスクのデータは、120BGの光磁気ファイルにバックアップ保存
できるようにした。
 主要ソフトとして、衛星画像による学術研究のためにERDAS Imagineを導入した。
地理情報システムARC/INFO、ARCviewは、衛星画像、数値地図、土地利用等の行政デ
ータとオーバーラップする目的で導入した。さらに可視化処理用のAVS+SPIDERを備
えている。これらは企業との共同研究目的のものである。


5 LAN構成

 LANシステムを図1に示す。HPサーバーを中心に、Windows、Mac、UNIXが共存して
いる。
 センターのドメイン名は、ichinoseki.iwate.jpであり全部にhost名を割り当てた。
 MacやWindowsには、X-Windows端末ソフトも配置した。これにより、Macから集中
的に作業が可能になる。しかし、HPのX端末が3台あり、またSS5等もXクライアン
ト利用しており、研究用として、PCやMacのX-Windows機能を使うことはなかった。
 20台のPC98からは、E45へプリンタのキューを流し、そこからPSプリンタとインク
ジェットの2系統にデータを流すように構成した。時々、印刷操作を中断すること
もあり、E45に残留したキューのキャンセル作業をする必要があった。
 Macからの印刷は、専用の回線で各プリンタへ接続し、印刷環境が最も良い。実際
の作業でも、Macで最終処理を行う形態がほとんどであった。
 センターの他の研究室にも10BaseTのコネクタを配置し、以上のネットワーク機能
を使える状況にしているが、現在は利用しておらず、他室はすべてスタンドアローン
の利用形態になっている。

6 LANの使用事例

 センターが開設され、約1年半経過した。技術情報部門で具体的に取り組んだ研
究や研修、また公開活動等をいくつか紹介し、その中でLANがどのように使われて
いたかを紹介する。

(1)リモートセンシング衛星画像解析研究

 衛星画像は、共同研究者である岩手大学情報工学科リモートセンシングデータ解
析室にてMTからDATへメディア変換する。このDATデータを本センターのE45へ取り込
む。データサイズはSAR画像1シーンで約80MB、ランドサット画像では1シーン約
300MBである。普通の電話回線接続では転送できない大きさである。
 現在、約4GBのHDDを、その画像データの格納用として利用している。このデータ
をNFS-exportし、計算サーバーHP735を中心に処理をする。
 研究作業の手順として、いったんHP735で大規模なファイルを操作または計算をし、
扱いやすいファイルサイズに変換する。そのファイルは、PC98へ統計解析用(表計
算データ)としてNFSで送信するか、Macへこまめな画像処理作業のために送信する。
Macからは、TelnetとFTPでアクセスする。Macとワークステーション間のNFS機能は
現在、備えていない。
 逆に、Macで地形図等の画像入力を行い、E45へ転送することも頻繁に行った。


(2)UNIX入門と画像処理の公開講座

 一関工業高等専門学校の公開講座として実施したもので、20台のPC98から、文字
端末を用いてJC-Classicへログインし、基本的なUNIXコマンド操作とCプログラム
の講習を行った。目標は、画像データの処理体験である。対象は岩手県南地域の情
報技術者で、パソコンの経験者であった。
 この講習では、telnet(Windows 3.1のVTN)だけでほとんど作業が達成された。最
後にPCのX端末エミュレータを用いて画像処理の結果を観察した。一斉授業形式の
講習会におけるLAN利用は、方法にもよるだろうが、負荷が軽かった。

(3)表計算Excel入門講座

 初心者を対象にした入門講座であるが、教材用のファイルをNFSで供給した。LAN
の実体は、研修者に知らせることもなく、研修者もLANを意識せず作業をすすめた。
PCからみると、本センターのLANは、それだけ取り扱いが簡単であったといえる。
 講習内容とは直接関係ない話であるが、参加者は初心者でありWindows環境設定を
間違って変更してしまうこともあった。このときには、NFSを利用してWindows関係
の*.iniファイルを読み込んで復旧させる手法が便利であった。
 多数のPCを一斉に環境設置するときは、LANを利用する価値は大きく、近隣の企業
技術者にとって参考になるものと思う。

(4)画像処理講習会

 宮城県工業技術センター主催で、平成8年1月に開催した。PC98のVisual Basic
で作成した局所フィルタ演算プログラムを、NFSで一斉にロードする講習形式であっ
た。
 実行形式のファイルを一斉にたちあげて、同一のデータに加工を加えるというも
ので、加工した結果を格納しないので、NFSは有効な方法であった。

(5)見学会「話せばわかるコンピュータの会」

 岩手県南技術研究センターの存在や設置機材を、近隣の企業や技術者に知っても
らおうと、PRを兼ねてボランティアで始めた見学会、「話せばわかるコンピュータ
の会」というものがある。
 この見学会が現在、本センターのLANを最も自在に利用できるグループである。
 月1回土曜日半日の見学会を定期的に開催し、各自PCを操作したり、LAN技術を

勉強しており、参加人数はこれまでで延べ200名を超える。
 昨今は、WWW情報発信のためのコンテンツ作成を中心とした操作体験を行って
いる。MacのもつDTP、デザイン機能、入出力機能を使い、PCへ文書や画像転送を、
telnet、ftp、NFSを利用して行っている。またMODEMによりインターネット接続体
験を行っており、LAN、WAN技術を使うことがあたりまえの状況となってきた。
 前述(2)〜(4)のようなきちんとした研修会も大事ではあるが、この会のように、
遊びやレクリェーション感覚で個人的にLAN体験する重要性も実感している。コン
テンツ作成作業を行うと、LAN知識や周辺機器、応用ソフトの何が具体的に必要な
のかわかり、各自、機器等を購入をしている。
 この見学会で実感したのが、インターネット接続の必要性である。インターネッ
ト上で公開されているツールやマニュアルを駆使できないのは、コンテンツ作成作
業に支障をもたらす。ファイルをいったんFDにコピーするという分断状態が、いか
に不便なものであり、シームレスなLAN接続環境がいかに重要であるか、体験でき
たものと考えている。

6 おわりに

 以上、岩手県南技術研究センターの「技術情報教育研究部門」における機材、
LAN構成ならびにネットワーク利用を中心にした取り組みの例を紹介した。以下に
まとめを列挙する。

1) 当初予定していた学術研究・研修目的に対する本センターのLANの機能、性能
  は十分であった。
2) PCでのX端末機能は、それほど需要は高くなく、PCにはNFS機能があればよい。
3) Freeソフトで出回っているLAN用ツールで、ほとんどのLAN操作が達成された。
4) 3)の現状から、インターネット接続の重要性が高まっている。
5) LANの評価は、機材の性能や技術的側面というより、作業目的と操作性能のバ
  ランス、現実の人間活動で左右されると考えられる。

●参考文献
 佐藤、佐川、中村、岩手県南技術研究センター「技術情報教育研究部門」のコン
ピュータ・システムについて 第15回高専情報処理教育研究発表会、1995.8


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